◆ハイリスクグループにインフルエンザを伝染する可能性のあるグループ
原文はここにあります。
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr4903a1.htm
『Prevention and Control of Influenza:
Recommendations of the
Advisory Committee on Immunization
Practices (ACIP)』
WHO（世界保健機関）は来シーズンのワクチン推奨株を勧告した。
インフルエンザワクチン株は、いわゆる本命対抗穴の三点買いで決定される。
WHOが推奨するのは下記の３つを含むワクチン。
昨年の推奨ワクチンはこれだった。
ちなみにインフルエンザウイルスの呼び方は、
(1) (2) (3) (4) (5) (6)
（例）A/ 北京/ 262/ 95 (H1 N1)(1)A型の核蛋白をもっていること
(2)北京で分離されたこと
(3)分離された順序を示す記号
(4)1995年に分離されたこと
(5)ヘムアグルチニン番号
(6)ノイラミニダーゼ番号
から、なっている。
H1N1はいわゆるAソ連型、H3N2はA香港型と呼ばれているので、上の推奨株を読み直
すと、A香港型モスクワ株とか、Aソ連型北京株とか、なんか訳の分からない名前に
なっていて、とても面白い。(^_^;) Aソ連型ニューカレドニアなんて、なんじゃそ
れ。ってかんじ。
日本で作られるワクチン株は、WHO推奨株をもとに国内やアジアでの流行状況を加
味して決定される。
来シーズンぶんはまだ決まっていないが、平成11年度(昨シーズン)のインフルエンザワクチン内容は
であった、
昨シーズンまで2回続けてA香港が大流行したため、今シーズンもA香港重視で、ワクチン全体に含まれるAソ連型のワクチン量を減らしたのだが、これが大外れ。(^_^;)
検出された株は9:1で圧倒的にAソ連であったとさ。(;^^)b おかげで、ワクチン接種をしたのにも関わらず、インフルエンザを発症した例が目立った。
今シーズンの患者数自体は昨年一昨年にくらべると少なく、例年並みといったところ。
ただし、学校を中心とした若年者数の感染者が多くみられた。これはAソ連がA香港より"古い"ウイルスで、成人層に比べて抗体保有率が低かったためと考えられる。
流行には地域差があり、たとえば北海道のインフルエンザ患者数は、昨年同期の3倍だったいう。なぜかは判らないが、気温や生活様式に違いがあるのかな?
英国では年ごとに重症な髄膜炎が急速に増加している。このC群髄膜炎菌と呼ばれる菌は髄膜炎を起こすだけでなく、血流にのって敗血症を起こし死に至ることすらある。1998年に比べても患者数が増加し、毎月150人の新たな死亡者が出ている。
この髄膜炎は、インフルエンザウイルス感染によって咽頭部に炎症が起き、細菌が侵入しやすくなるために、インフルエンザ流行の数週後に増加しやすい。1994年にはこの菌による敗血症は 430例であった。1999年速報ではこれが1828例で、 98年に比べても症例数で 319例 (21%)の増加を示した。ヨーロッパでインフルエンザが大流行している現在、さらに犠牲者が増加する可能性があると専門家は警告している。
この髄膜炎は日本でいうと小中学生に相当する年齢で発症することが多く、また症状の進行が電撃的で、重症化しやすい。1999年の死亡者数はまだ判っていないが、1998年には C群髄膜炎菌による死亡者は210名となっている。
C群髄膜炎菌の感染症は、英国とアイルランドでの罹患率が高く、患者総数は人口が10倍の米国とほぼ同じである。 なぜ、これらの国に多いのか理由は判っていない。
英国では、このC群髄膜炎菌性疾患に対するワクチンが99年1月より接種されるようになった。2000年末までに 対象年齢の1400万人すべてに接種を完了させる予定となっている。
病院は重症患者であふれている
ヨーロッパの一部と中東で今年はインフルエンザの当たり年となっている。イギリス、イスラエルの医師たちはこの流行を危惧しており、この10年間で最悪となり得ると述べている。
オランダではこれまでの週に咳や鼻水の症状の患者の20%がインフルエンザによるものと見積もっており、同国東部州では通常の9倍以上の患者が報告された。
スペインでは患者は昨年より約30%以上に上ったが、これはインフルエンザの流行時期が通常より2週間早く始まったことによる。
デンマーク保健当局は同国のインフルエンザの流行は初期の段階とみられ、これまで数週間にフィンランドのクリニックを受診した患者の約60%がインフルエンザと診断されたと述べた。
フィンランドの病院は、おそらく昨年の抗体があったので流行はヨーロッパのその他の地域ほどひどくないと述べている。
ドイツでは、Bavaria,Baden-Wuerttemberg,Thuringia州で通常よりやや多く患者が報告された。医師は呼吸器感染症の約30%がインフルエンザによると報告している。しかし流行は昨年のものとよく似ており多くの人は抗体を維持しているとみられている。
合衆国では先月西部の州を激しく襲った流行は、東部まで流行に広まっている。週末までに、ペンシルバニア、ニューヨーク、ニュージャージ、バージニア州を含む19州で流行が報告された。ニューヨーク州保健当局は昨年同時期の患者数19名に比べ今年の患者数は80名となっており、患者の急増を報告した。CDCの医師は、合衆国は現在例年のインフルエンザ流行時期の最中であるが、それほどきわだって激しい流行とは思われないと述べた。医師は今年の合衆国および世界流行は主にA型シドニー株により、これまでの3週間に数カ所の地域で激しい流行がみられたと述べている。
昨シーズンは地球規模でA/H3N2型(シドニー型)が主に流行し､B型は地域限定で小流行を起こした。（AとかBとか型の説明はまたこんど(;^^)b）
Ｂ型は､欧米では山形系統と呼ばれる型だったのに比べて､東アジアでは山形系統と同時にビクトリア系統が同時流行した。（つまりB型については昨シーズンのワクチンは効きがもう一つだった？）
1999年２月のWHO専門家会議では､1999/2000シーズンについても､基本的にはA/H3(シドニー類似株)型が主流であり､それに欧米では山形系統が､東アジアでは山形系統とビクトリア系統が共存したＢ型の流行の可能性のあること､そしてA/H1型による大きな流行はないであろうと予想している。
つまり、今シーズン流行するインフルエンザの型は去年とたいして変わらないだろう。
変わらないってことは、昨シーズン罹った人は罹りにくいので大流行にはならないのでは？と予想できる。
（さあ当たるっかな？ 答えは3ヶ月後(;^^)b
WHOが発表した1999/2000シーズン北半球用のワクチン推奨株は､（どうやって流行の予測をしてるのかはまたこんど(;^^)b）
１)A/Beijing(北京)/262/95(H1N1)-like
２)A/Sydney/5/97(H3N2)-like
３)B/Beijing(北京)/184/93-like または B/Shangdong(山東)/7/97-like
となっている。
インフルエンザは風邪（common cold）とは別の病気と考えた方がいいでしょう。 これは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる、風邪よりもずっと伝染りやすく重症になりやすい、のどや気管・肺など呼吸器の病気です。
毎年違う型のインフルエンザが流行するため、それにあわせてワクチンも毎年新しい製品が作られます。
どのタイプのインフルエンザウイルスが流行するか、WHOや東アジア地区の流行状況に基づいて、今シーズンもっとも流行りそうなウイルス株３種類が決定され(競馬で言う本命・対抗・穴の三点買いですね(;^^)b)、この3つを混ぜ合わせたものをワクチンとして使用します。 ワクチンを作っている製薬会社が違っても、ウイルス株に違いはありません。
これらのワクチンに含まれるウイルスは不活化処理されているので感染力がなく、ワクチンを接種したせいでインフルエンザに感染するおそれはありません。
ワクチンはこれら3つのウイルス株に似たタイプのインフルエンザ感染を予防します。ですから、ワクチンを接種したからといって、風邪にかからなくて済むわけではありません。
しかし、インフルエンザワクチンはお年寄りや抵抗力の落ちた人の、インフルエンザの重症化(肺炎など）やほかの二次感染を予防できます。統計的にはインフルエンザワクチンは、インフルエンザによる入院や死亡を減少させる力があります。
